このエッセイコーナーはe-Towns発行人、北風秀明が日頃抱いている庄内への思いをエッセイにしたもののアーカイブスです。
(vol.19 e-Towns 2014年3月号掲載)
2月11日(祝)に連続講座「内川学」の第5回「昭和初期の通り丁×まちの明日を考える」にパネリストとして参加した。「内川学」は東北公益文科大学公益総合研究センターの公益研究プロジェクトの一環で、2009年から行われている。
会場はまちキネだったが、100人以上の来場があって、立ち見まで。最初気軽に引き受けたパネリストだったが、関心の高い人たちがこんなにも多いのかとその場で気づいて、急に「どうしよう」と焦ってしまった。
第一部では高谷時彦教授の基調講演、その後の國井美保研究員の研究発表があり、昔のまちなかの賑わいについての話しがあった。昔の市(いち)は、人が丹精込めて作ったものをすぐにお金に替えることを良しとはせず、神社などの神聖な場所で一度清めるというかそういう祝祭的な要素があったという。今はインターネットとクレジットカードがあれば欲しいものは何でも手に入る時代だ。物に対しての感謝の気持ちが、昔に比べると随分無くなってしまったように思った。
第二部では「まちの明日を考える」と題したパネルディスカッションだった。こちらは日頃考えていることを話させていただき、何とか役目を果たせたかなあと思う。
その日一番印象に残ったのは、まちなかというのは人間の匂いがして、人間の温かさがあって、地域の個性を作りだす場所だ、という言葉だった。市(いち)の話しと合わさって、物を買うという行為を一度見直してみようと、帰りの車で考えた。