このエッセイコーナーはe-Towns発行人、北風秀明が日頃抱いている庄内への思いをエッセイにしたもののアーカイブスです。
(vol.17 e-Towns 2014年1月号掲載)
世の中のお父さんで、子供の「通信簿もらい(この呼び方でいいのかは不明)」に学校に行った人はどのくらいいるだろうか。僕は仕事という言い訳をして、ほとんど子供の学校行事に顔を出した事がない。
ここ最近忘年会などが多く、小学生の子供と会うのは朝の数十分だけという日が続いた。そういうこともあってか突然カレンダーに書いてあった「通信簿もらい」に行きたくなった。
e-Townsの締切真っ最中に時間をもらって学校に行った。階段を昇って教室まで行くのは初めてだ。途中図書館や音楽室があり、廊下には生徒たちの描いた絵が掲示してある。生徒たちが帰った後の静かな校舎ににぎやかな声が聞こえて来るようだ。
子供の教室が待合室になっていて、ノート展、お子様のノートを自由に見て下さいとある。僕は一人で教室のほぼ真ん中の子供の席に座ってノートを開いた。丁寧に書かれた字を見て、いつの間にか大きくなったなあとしみじみ思った。十分ほどの時間だったが、自分が小さかった頃の記憶がよみがえって来て、時の流れというものを考えた。親子で同じ庄内の景色の中で子供時代を送れることをとても幸せに感じた。
時計を見るとそろそろ自分の番だ。ふといたずら心が湧いて来た。机の引き出しを開けると子供の名札が入っている。僕は自分の名刺を取り出し、「来たぞ」とボールペンで書いて、名札の脇に置いた。休み明けにちょっと驚いた子供の顔を想像して、にやっとして隣の教室に向かった。