特集記事

あつみ 越沢

温海の「まやのやかた」さんはこれまでも何度か行ったことがあります。

新そばまつりの時期はとても人気で混んでいました。

今回は館長さんと越沢集落の自治会のかたにお話を聞くことができました。

館長さんは、越沢三角そばの生産組合組合長さんでもある野尻善共(よしとも)さん。朝からそばを打っていて、お忙しいところ取材に応じていただきました。

あとからいらした大滝由吉(よしきち)さんは越沢三角そばの生産組合員で、越沢自治会評議員です。

撮影/佐々木聖紀

お二人とも、そばの生産をされていて、越沢のそばを守り、広める活動をなさっています。

「まやのやかた」は平成4年開業し、今年30周年なのだそうです。以前は、集落の家々でそばを打っていて、名人たちがいるのだそうで

そのそばを「まやのやかた」で出していたのだそうですが、高齢化のためそば打ちの存続が厳しくなり、

途絶えさせてはいけないと、野尻さんたち生産者が名人からそば打ちを教わり、引き継いだそうです。

現在は、土日祝日のみの営業で、冬季は休業しているとのことです。例年3月下旬より開店しています。

冬の寒さの中、生活排水の入らない冷たい清水ににさらした「寒ざらしそば」も好評で、雑味が抜け、甘味が増すそうで、春先評判になってきているとのことです。

最近になって世代交代し、あとを引き継いだ農家のお母さんたちがつゆも見直し、昨年から化学調味料を使わないやさしい味になったそうです。

さっそく、天ぷらそばをいただきました。

地域の山菜などを使った小鉢がついているのもうれしいです。

地域の名産の笹巻がついているのも特徴です。レジで売っていることもあります。

この日はあんこ入ったバージョンもありました!

野尻さんが今朝打ったばかりというおそば。以前食べに来た時より細めになった、と感じました。

最近は、越沢地区のそばのルーツとされる信濃の信州そばに近づけてみてるんだ、とおっしゃっていました。なるほど。更科そばを思わせるように喉越しが良く、つるりと食べられます。

たくさんの人に食べてもらおうと麺を打つ効率を重視して、包丁のついた麺切り台を使っているけれど、手切りの包丁も習っておけばよかったなあともおっしゃっていました。それでも、生産者のかたが麺打ちを習って引き継いだ、その気持ちは本当に素晴らしいなと思いました。

そばを植えて育てている人が麺を打っているのですから、大切に打っているおそばです。

最近、お店を手伝ってくれているお母さんたちと考案したメニューが登場しました。「ぶっかけそば」

地域の野菜や山菜などが入ったかき揚げが乗っています。

大根おろしが乗っていて、さらっと食べられ、夏にも良さそうなメニューだなあと思いました。

おそばのお持ち帰りもできます。来店3日前まで予約しておけば4人前から注文できます。(写真は4人前)

ゆで方の説明もついていました!ゆですぎないことが肝心だそうです。

そばつゆは別売り、そば粉の販売もあります。

さて、そろそろ、越沢地区で守り育てられている「越沢三角そば」について聞いたことを書きます。

ルーツは信濃の野尻湖周辺の地域からの移住してきた住民がそばをつたえたのではないかとされているそうです。(館長も野尻さん。越沢集落は野尻さんという家がたくさんあるそうです)

飛鳥から奈良時代に出羽柵と呼ばれる城柵があり、和銅706年〜714年に移動してきた開拓民たちが持ってきた食糧の中にそばの種もあったのではないかと推察されているそうです。それについては詳しくパンフレットに載っています。

越沢の集落の家々では古くからそばを植えていて米の凶作に備え、そばを打って食べる習慣があったそうです。

種はその家その家で守って育ててきたそうで、平成28年、山形大学の調査で在来作物として認知されたそうです。江頭先生の調査などのことを書いた記事がまやのやかたの店内に貼ってありました。

わずか3軒の自家用の種が残るのみとなって消えようとしていたのを、生産組合を立ち上げ5〜6人から栽培をはじめ、現在は15名が栽培をしています。

そばを貯蔵するため保冷庫を導入、製粉、磨き、石挽き、真空パック、と生産からすべての工程ができるのは全国でもここだけと聞いているとのことです。

令和2年、地元の名前をつけて「越沢三角そば®️」と商標登録。少しずつ知名度が上がってきて、東京に2店舗、京都に1店舗扱ってくれるお店があるそうです。

これからの存続と発展が期待される、地域をあげたすばらしい取り組みで、感嘆しました。

越沢には、郷清水(まやのやかた周辺にはまた違う水系の清水があるのだそうですが)、摩耶山、棚田、とそれを生かして造られた清酒「摩耶山」が地域限定販売されています。その場所を案内していただきました。

雪解けの時期などはこんこんと湧いているのがみられるそうです。

冷たく、おいしかったです。

越沢は棚田でも有名です。郷清水の湧水が育む棚田米はまやのやかたでも販売されていました。

東屋から展望できます。里山のすばらしい景観でした。

合い間で育てられているそば。

わずかな空いた土地で焼畑をしてカブが植えられているのも見せていただきました。

さて、摩耶山の登山口近くにあるそばの畑

三角そばは、丈が高く、枝がたくさんにわかれるそうで、台風などの強風で倒れやすいそうですが、工夫しておさえながら育てるそうです。

実がたくさんなり、また品種改良されたでわかおりと比べると粒は小さいけれど、中身がパンパンに詰まっているのだそうです。

粉にした時のぶどまりが多いそうです。

甘味、香り、喉越し、粘りが特徴で、江頭先生がナッツのような香りと評したとのことです。

朝、山の方にいった集落の方がまやのやかたに寄って、拾ってきたとちの実を見せてくれました。

クリみたいだけれどイガがなく、こんな形をしていました。これを剥いてアクを抜くのがとても大変な作業だそうで、

とちもちも貴重なものになっていますね。産直きらりさんで売っているのをシーズンになると見かけます。

たくさんの魅力をもった集落、越沢、今後も注目したい地域です。

新そばまつり早速チェックです。

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